感想
title「クリーチャーと少女の習作4」
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長いこと書けなかった山川直人さんの漫画、
「澄江堂主人」の感想を、意を決して短めですが書きたいと思います。
僕はもともと、コミックビームに連載されていた、
山川さんの「コーヒーもう一杯」という作品を読んでファンになり、
山川さんの作品は同人誌も含めて、ほぼ全部もっていると言っても、
過言ではない大好きな作家さんの一人です。
それで、結構前から「澄江堂主人」は単行本になり出版されていたのですが、
前編、中篇、後編と3冊出ていたので、お金に余裕が無かった私は、
しばらく買えずにいて、やっとついひと月前位に、
少しお金の余裕が出たので、まとめて購入しました。
「澄江堂主人」は芥川龍之介の生涯を(主に大正~明治時代の事)、
描いた作品なのですが、僕は恥ずかしいことに、
芥川龍之介の事に関してあまり詳しく知らなかったのと、
さらにはその周辺の、当時関係する人達の人間関係など、ほとんど知らなかったので、
一回読んだだけでは、全部を理解しきれませんでした。
さらに何回か読んでいくうちに、少しずつ把握してきましたが、
今も、まだ完全に内容を消化出来ていないので、
今後も、度々「澄江堂主人」を読み返そうと思っております。
肝心の感想なのですが、まず思ったのは、芥川龍之介の深く繊細で神経質な心の内面を、
山川さんの表現で、とても丁寧に描いてあると思いました。
特に随所に見られる、緻密な描き込みシーンは、
(驚くことにほとんど黒の所も、ベタではなくカケ網で描いてあると思われる。
主線がいつもよりとても細く描いてあるのが印象的。)
心に刻み込まれる様な迫力があります。
この手法は、山川さんでしか出来ない素晴らしい表現方法だと思いました。
さらに、さまざまな人との交流や、芥川龍之介に起こった色々な事柄が描かれており、
大変勉強になりました。そして作品に、僕が好きな作家の北杜夫さんの、
父親の斉藤茂吉も少し出てきて、こんな繋がりがあったとは、となんとも感慨深かったです。
とにかく全体的に凄く読み応えがあり、本当に素晴らしい作品でした。
これが自分の今の読後の感想です。
ほとんど感想になっていないじゃあないか!
と山川さんのファンの方に怒られてしまいそうですが、
とても良い作品だったので、感想書かせて頂きました。
山川さんのこれからの作品も楽しみです。