「約束の時間を20分遅れてしまった、申し訳ない。」
そう言って彼は駆けつけたが、実際は20分どころではなく、20日遅れであった。
彼は時計を一つも持っていなく、また時計を見ることも何故か酷く嫌っていたので、
彼の時間の感覚は、全て自身の体内時計で計られていた。
彼は自分のことを21歳だと言っているが、私は5歳の時彼と知りあってから60年間、
彼の外見はまったくと言っていいほど変わっていないので、21歳というのも、嘘なのかも知れない。
もしくは私自身が、日ごろから色々な所で見ている全ての時計が間違っているのかもしれない。